顔、体格、ましてや名前さえ分からない「俺」が徐々に自分の中に浸透して来る。 自分が言われているよう。自分が感じているよう。自分が言い放っているよう。 森という新しい生命に怯え、怒る気持ちにどこかで共感してしまう悔しさ。 どこまでも突き抜ける優しさを持つ人々。そんな面だけでは無い、裏を持つ人々。 様々な社会問題を取り上げて一つ一つを丁寧に重要視させるのと同時に、間接的に誰しもが経験する「神聖視」も随所で織り込まれていた。 年齢問わず「神聖視」が対人に及ぼす影響は計り知れないことが徐々に分かりつつある今、この作品を読んで、自分の考え方を見つめ直すことの大切さが浮かんだ。